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Desktop/amazon field recording
アマゾンを彷彿とさせるジャングルのイメージが印刷されたクロスが張られた前には何かしらの作業環境が構築されたデスクが配置されている。
デスクの上には、ラップトップや充電器の他にLEDランタンやヘッドライトなど、何処かを探検したあとのようなものが無造作においてある。
この作品はamazon.comを調査した時の環境、つまりデスクに座ってラップトップでamazon.comをブラウジングしていた状況を再現したものである。
しかし前述したように机の上にはLEDランタンやヘッドライトも置いてある。
なんの脈略のないように見えるがこれはアマゾン熱帯地域を探検する時に必須のものであり、それらのオブジェクトをamazon.comの調査環境を同列に配置することで、
アマゾン熱帯地域の調査とamazon.comの調査という状況が同レイヤー上で混ざり合い、そこにはアマゾンとamazon.comといった言葉遊び以上のオーバーラップのような現象が生じる。
またデスクの後ろに掲げられたクロス張りのジャングルには、湿気も匂いも何も感じないハリボテのアマゾンの質感を感じさせる。
そういった要素は泥、湿度、温度までもないというamazon.comの環境がリンクする。皮肉にもクロスを背にamazon.comを探検する姿は、
アマゾンの熱帯雨林の中でラップトップを広げamazon.comを調査しているというダブルミーニングで滑稽な様子にも見えるであろう。
他にもキーボードのタイプ音とアマゾン熱帯地域の環境音をamazon.comを調査している時の音(キーボードのタイプ音)とアマゾン熱帯地域を調査している時の音(環境音)と捉え、ミックスしたものを作品中にスピーカーで再生することで、
アマゾン熱帯地域を調査するようにamazon.comの生態を調査するというこの作品の大枠でのコンセプトの裏付けをより強くする。
デスク、クロス、音源など、amazon.comを調査したような環境を作品空間内で作り上げ複数のベクトルから鑑賞者にアプローチをすることで、
この作品の主題でもあるアマゾンとamazon.comと言った二つのワードの間に存在する言葉遊び以上の関わり合いを鑑賞者に気づかせる。
そこで生まれる鑑賞者の気付きはおそらく他の組み作品を鑑賞する手がかりにもなり、「アマゾン生態調査報告」といった作品の骨格が、そこには立ち上がってくるはずである。