amazon.com には1200 万種を超える商品が出品されており、その中には奇を衒うような歪な画像加工が施されている商品が存在する。 特に商品数が飽和している家電製品などは、いかに他の商品より目立つか、いかにその商品の機能性を1枚の画像から伝えることができるか、 つまり検索結果画面の時点でどれだけ早くユーザーに見つけてもらえるかという点が重視された結果、過剰な加工が施された商品が多数存在する。

しかし、ここで一つの問題が発生する。 amazon.comで実際にその商品を購入した後、段ボールに梱包され購入者の家に届く時、配達される商品自体に水しぶきなどの加工は施されておらず、至って普通の商品が手元に届く。 この時、amazon.comのイメージと実際のオブジェクトの関係は崩れ落ち、ECサイトでの購入というフェーズを交わした時に発生する摩擦、イメージが抜け落ちる感覚を覚える。 そこでこの作品では、美容家電において防水などを表現するためにコラージュされた 水や、使用用途を伝えるために女性の顔の画像が埋め込まれた鏡を実際に制作し、 丁寧に 梱包し直すことでまるでイメージが実体を持ち、そのまま配達されたかのような状況を作り出す。 Artie Vierkantが提唱したImage Objectsを参考に amazon.comの商品画像と、宅配というフィジカルな行為によって手元に届く商品を見比べることで、 amazon.comにおいての新たなイメージとオブジェクトの関係性を問いただす。