この作品で額装され展示されている写真は、amazon.com で販売されているセルフィスティックの商品画像の中で、 セルフィスティックに装着された iPhoneの画面に表示されていた写真である。 セルフィスティックという自撮りを行うことが前提に製造されているこの商品において、 そこに装着されているiPhoneはスマートフォンではなく一種のカメラとして機能しており、画面に写っている画像は、そこで撮影されたはずであろう写真だという一連の流れが、 amazon.comで扱われている商品の画像から読み取ることができる。 実際にそこに埋め込まれている画像は有料画像サイトで購入したものや、フリー画像であるのだが、前述したiPhoneとセルフィスティックでの撮影の過程を踏まえて考えてみると、 このiPhonの存在はamazon.comの商品画像の中で完結しており、iPhoneのカメラレンズに映る景色もamazon.comの中に広がる光景であるはずだ。 そこで私はこの作品においてiPhoneの画面に埋め込まれている画像をamazon.comで撮影された写真と呼ぶことができると考えた。 商品画像で使用するために、あたかも撮影されたように埋め込まれたフリー画像を、ぞんざいに扱うのではなく、 amazonで撮影された写真としてパッケージングし直すことで 商品画像で行われる加工においての脱力感やそこに加工される画像に付与される 新たな意味合いについて考える。